Zabbix 4.4 インストール手順(CentOS8 / Apache2.4 / PHP7.2 / PostgreSQL10.6)
Contents
はじめに
2019年10月9日、Zabbix 4.4がリリースされました。大きな機能追加は以下リリースサイトにまとめられています。
今回は、エンタープライズ系のシステムでよく使われるOSSのRDBMSであるPostgreSQLを使用して、Apache + PHP + PostgreSQLでZabbix Server 4.4およびZabbix Agent2 4.4のインストールを検証してみました。
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Zabbix 4.4 インストール手順(CentOS7 / Apache2.4 / PHP5.4 / MariaDB5.5)
Zabbix 4.4 冗長化構成の構築手順 (CentOS7)
前提条件
以下の前提条件で検証しています。
- ハードウェア: VirtualBox上の仮想マシン
- OS: CentOS 8.0
- ミドルウェア:
- Apache: 2.4.37 (OS同梱版)
- PHP: 7.2.11 (OS同梱版)
- PostgreSQL: 10.6 (OS同梱版)
- Zabbix Server: 4.4.0
- Zabbix Agent 2: 4.4.0
- 構築対象サーバはインターネットと疎通が取れること
- 各手順はroot権限を持つユーザで実施
OSは、CentOSインストールDVDのISOファイルから「最小限のインストール」を選択しインストールを行いました。
バージョン情報は以下の通りです。
# cat /etc/redhat-release
CentOS Linux release 8.0.1905 (Core)
# uname -r
4.18.0-80.el8.x86_64
パッケージインストール
Zabbixの動作に必要となる各種パッケージをインストールします。
基本方針として、OS同梱版ソフトウェアは、dfnのmodule機能を使用して最新バージョンをインストールします。
その後、Zabbixの公式リポジトリからZabbix関連パッケージおよび依存パッケージをインストールします。
Apache
以下のコマンドを実行し、Apacheおよび関連ソフトウェアをインストールします。
# dnf -y module install httpd
PHP
以下のコマンドを実行し、PHPをインストールします。
# dnf -y module install php
PostgreSQL
以下のコマンドを実行し、PostgreSQLをインストールします。
# dnf -y module install postgresql
Zabbix Server
Zabbixのリリース状況によっては、新しいバージョンのパッケージが公開される可能性があります。以下の公式リポジトリで、「zabbix-release-4.4-x.el8.noarch.rpm」のバージョンを確認して、新しいバージョンが公開されている場合は、インストール対象パッケージのURLを適宜変更してください。
https://repo.zabbix.com/zabbix/4.4/rhel/8/x86_64/
以下のコマンドを実行し、Zabbix 4.4の公式リポジトリをインストールします。
# dnf -y install https://repo.zabbix.com/zabbix/4.4/rhel/8/x86_64/zabbix-release-4.4-1.el8.noarch.rpm
以下のコマンドを実行し、Zabbix Serverの関連パッケージをインストールします。
# dnf -y install zabbix-server-pgsql zabbix-web-pgsql zabbix-web-japanese zabbix-apache-conf
Zabbix Agent 2
以下のコマンドを実行し、Zabbix Agent 2をインストールします。
# dnf -y install zabbix-agent2
設定ファイルの変更
PHP
CentOS 8では、ApacheのPHP実行環境がモジュール(mod_php)からFastCGIサーバ(PHP-FPM)に変更されました。そのため、ApacheではなくPHP-FPMの設定を変更する必要があります。
viなどのテキストエディタで、PHP-FPMのZabbix用設定ファイルを開きます。
# vi /etc/php-fpm.d/zabbix.conf
設定変更内容は以下の通りです。
最低限の設定として、PHPのタイムゾーンを変更します。
# タイムゾーン行のコメントアウトを外し、Asia/Tokyoに変更
; php_value[date.timezone] = Europe/Riga
↓
php_value[date.timezone] = Asia/Tokyo
Zabbix Server
viなどのテキストエディタで、Zabbix Serverの設定ファイルを開きます。
# vi /etc/zabbix/zabbix_server.conf
設定変更内容は以下の通りです。
最低限の設定として、DBサーバへの接続情報が必要となります。
### DB関連の設定 ###
# DBサーバホスト名
# ローカルPostgreSQLを使用する場合は変更しない
# 外部DBサーバを使用する場合はコメントアウトを外し、DBサーバのIPアドレスorホスト名を指定する
# DBHost=localhost
# DB名
# 今回はデフォルトのzabbixを使用するので変更しない
DBName=zabbix
# DBユーザ名
# 今回はデフォルトのzabbixを使用するので変更しない
DBUser=zabbix
# DBパスワード
# 項目のコメントアウトを外し、クオートやスペースを含めずに指定する
# DBPassword=
↓
DBPassword=zabbixpass
# DBポート番号
# コメントアウトを外し、5432をポート番号に指定する
# DBPort=
↓
DBPort=5432
Zabbix Agent2
viなどのテキストエディタで、Zabbix Agent 2の設定ファイルを開きます。
# vi /etc/zabbix/zabbix_agent2.conf
設定変更内容は以下の通りです。
Zabbix Serverからのリモートコマンドを使用した監視の有効化と、監視を受け付けるサーバに関する設定を行います。
# リモートコマンド監視の有効化
# コメントアウトを外して、値を1に変更する
# EnableRemoteCommands=0
↓
EnableRemoteCommands=1
# 監視通信を許可するサーバIPアドレス
# Zabbixサーバ自身を監視する場合は値を変更しない
# 別サーバへエージェントをインストールする場合は、ZabbixサーバのIPアドレスを指定する
Server=127.0.0.1
# アクティブチェック監視データの送信先サーバIPアドレス
# Zabbixサーバ自身を監視する場合は値を変更しない
# 別サーバへエージェントをインストールする場合は、ZabbixサーバのIPアドレスを指定する
ServerActive=127.0.0.1
# 自ホストのホスト名
# OS上のホスト名ではなく、Zabbix監視設定上のホスト名なので注意
# 以下の例では、サーバ実機設定および監視設定であるzbx01をホスト名に指定している
Hostname=Zabbix server
↓
Hostname=zbx01
DBの設定
以下のコマンドを実行し、PostgreSQLのDBクラスタを初期化します。
# postgresql-setup --initdb
* Initializing database in '/var/lib/pgsql/data'
* Initialized, logs are in /var/lib/pgsql/initdb_postgresql.log
viなどのテキストエディタで、PostgreSQLの認証設定ファイルを開きます。
# vi /var/lib/pgsql/data/pg_hba.conf
設定変更内容は以下の通りです。
ローカルの認証をpeer
からtrust
に変更します。IPv4、IPv6のDB認証方式をident
からtrust
に変更します。また、レプリケーション用の認証設定は不要なのでコメントアウトします。
# "local" is for Unix domain socket connections only
local all all peer
# IPv4 local connections:
host all all 127.0.0.1/32 ident
# IPv6 local connections:
host all all ::1/128 indent
↓
# "local" is for Unix domain socket connections only
local all all trust
# IPv4 local connections:
host all all 127.0.0.1/32 trust
# IPv6 local connections:
host all all ::1/128 trust
local replication all peer
host replication all 127.0.0.1/32 ident
host replication all ::1/128 ident
↓
#local replication all peer
#host replication all 127.0.0.1/32 ident
#host replication all ::1/128 ident
以下のコマンドを実行し、PostgreSQLの自動起動設定と、サービスの起動を行います。
# systemctl enable postgresql
Created symlink /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/postgresql.service → /usr/lib/systemd/system/postgresql.service.
# systemctl start postgresql
以下のコマンドを実行し、シェルの実行ユーザをpostgres
に変更します。新たなDBユーザとして、zabbix
を作成します。
以下の例では、Zabbix Serverの設定と合わせて、DBユーザのパスワードはzabbixpass
を指定しました。
# su - postgres
$ createuser -P zabbix
新しいロールのためのパスワード: ←DBユーザのパスワードを入力
もう一度入力してください: ←DBユーザのパスワードを入力
以下のコマンドを実行し、DBユーザzabbix
をオーナーに指定したZabbix用DBzabbix
を作成します。
$ createdb -O zabbix -E Unicode -T template0 zabbix
以下のコマンドを実行し、Zabbixの初期スキーマ、データをDBにインポートします。
$ zcat /usr/share/doc/zabbix-server-pgsql/create.sql.gz | psql -U zabbix zabbix
(略)
COMMIT
以下のコマンドを実行し、ユーザをpostgres
から元の作業ユーザに戻します。
$ exit
SELinuxの設定
OSのSELinux設定が有効である場合、Zabbix Serverの動作が阻害されてしまいます。
以下のコマンドを実行し、SELinuxの設定を無効化し、OSを再起動します。
# sed -i -e "s/^SELINUX=enforcing$/SELINUX=disabled/g" /etc/selinux/config
# systemctl reboot
以下のコマンドを実行し、SELinuxが無効化(Disabled)されていることを確認します。
# getenforce
Disabled
ファイアウォールの設定
以下のコマンドを実行し、外部からの通信を許可します。許可対象の通信は以下の通りです。
- 10050/tcp : Zabbix Server → Zabbix Agentのパッシブ監視通信(Zbbixサーバ自身は不要、監視対象サーバでは必要)
- 10051/tcp : Zabbix Agent → Serverのアクティブ監視通信(Zabbixサーバのみ必要)
- http : クライアント → Zabbix WebUIのHTTP通信(Zabbixサーバのみ必要)
# firewall-cmd --add-port=10051/tcp --zone=public --permanent
success
# firewall-cmd --add-service=http --zone=public --permanent
success
# firewall-cmd --reload
success
Zabbix WebUIのSSL化(https)や、SNMP Trapの受信(162/udp)など、Zabbixサーバに対する上記以外のインバウンド通信要件がある場合は、適宜firewalldの設定を追加してください。
サービス起動
Apache
以下のコマンドを実行し、Apacheの自動起動設定とサービス起動を行います。
# systemctl enable httpd
Created symlink /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/httpd.service → /usr/lib/systemd/system/httpd.service.
# systemctl start httpd
PHP-FPM
以下のコマンドを実行し、PHP-FPMの自動起動設定とサービス起動を行います。
# systemctl enable php-fpm
Created symlink /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/php-fpm.service → /usr/lib/systemd/system/php-fpm.service.
# systemctl start php-fpm
Zabbix Server
以下のコマンドを実行し、Zabbix Serverの自動起動設定とサービス起動を行います。
# systemctl enable zabbix-server
Created symlink /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/zabbix-server.service → /usr/lib/systemd/system/zabbix-server.service.
# systemctl start zabbix-server
Zabbix Agent2
以下のコマンドを実行し、Zabbix Agent2の自動起動設定とサービス起動を行います。
# systemctl enable zabbix-agent2
Created symlink /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/zabbix-agent2.service → /usr/lib/systemd/system/zabbix-agent2.service.
# systemctl start zabbix-agent2
WebUIの設定
初期設定ウィザード
WebUIの初期設定を行うため、作業端末のWebブラウザを起動して以下のURLにアクセスします。
http://<ZabbixサーバIPアドレス>/zabbix/
「Next step」を押下します。
全ての項目が「OK」になっていることを確認して、「Next step」を押下します。
「Password」の箇所に、DBユーザzabbixのパスワードを入力し、「Next step」を押下します。
今回は、WebUIを動作させるPHP-FPMとZabbix Serverが1台のサーバに相乗りしているので、WebUIの接続先Zabbix Server設定の変更は特に不要です。「Next step」を押下します。
「Next step」を押下します。
「Finish」を押下します。
設定が完了すると、ログイン画面に遷移します。
初期ユーザ名「Admin」、初期パスワード「zabbix」を入力し、「Sign in」を押下します。
ダッシュボードが表示されることを確認し、WebUIの初期設定は完了です。
WebUIの日本語化
初期状態では英語表記なので、日本語化を行います。
ダッシュボード右上の人物アイコンを押下します。
「Language」の項目を「Japanese (ja_JP)」に指定し、「Update」を押下します。
ダッシュボードへ画面遷移するので、日本語表示に切り替わっていることを確認します。
参考情報
日本語フォントの標準対応
以前のバージョンのZabbixでは、日本語フォントのパッケージが同時にインストールされない問題があり、個別にインストールが必要でした。
RHEL8(CentOS 8)向けZabbix 4.4は、パッケージインストール時の依存関係として「google-noto-cjk」が同時にインストールされるので、別途のフォント設定は不要になりました。
以下のコマンドでフォント設定を確認すると、google-noto-cjkフォントが指定されています。
# ls -l /etc/alternatives/zabbix-web-font
lrwxrwxrwx. 1 root root 56 10月 11 16:33 /etc/alternatives/zabbix-web-font -> /usr/share/fonts/google-noto-cjk/NotoSansCJK-Regular.ttc
参考:
Zabbix 4.0 LTS グラフ 日本語文字化けの修正方法 ※有識者からの意見を頂き更新
Zabbixインストール時の依存パッケージについて
CentOS 8の標準パッケージ管理機能であるDNFのmodule機能を使用して、以下のミドルウェアをインストールした後、Zabbixの主要パッケージをインストールするときに要求される依存関係パッケージ一覧を採取しました。
- Apache(apache)
- PHP(php)
- PostgreSQL(postgresql)
オフライン環境でZabbixをインストールする場合、上記moduleと併せて以下のパッケージファイルを用意しておく必要があります。
zabbix
リポジトリのパッケージは、インターネット上から直接ダウンロードしてサーバに転送しておきます。BaseOS
、AppStream
リポジトリのパッケージは、インストールイメージのISOファイルをマウントしてyumリポジトリに登録することでインストールができます。
# dnf install zabbix-server-pgsql zabbix-web-pgsql zabbix-web-japanese zabbix-apache-conf
(略)
=====================================================================================================
パッケージ アーキテクチャー
バージョン リポジトリ サイズ
=====================================================================================================
Installing:
zabbix-apache-conf noarch 4.4.0-1.el8 zabbix 224 k
zabbix-server-pgsql x86_64 4.4.0-1.el8 zabbix 2.5 M
zabbix-web-japanese noarch 4.4.0-1.el8 zabbix 14 k
zabbix-web-pgsql noarch 4.4.0-1.el8 zabbix 13 k
依存関係をインストール中:
gd x86_64 2.2.5-6.el8 AppStream 144 k
google-noto-cjk-fonts-common noarch 20170602-9.el8 AppStream 18 k
google-noto-sans-cjk-ttc-fonts
noarch 20170602-9.el8 AppStream 81 M
jbigkit-libs x86_64 2.1-14.el8 AppStream 55 k
libX11 x86_64 1.6.7-1.el8 AppStream 612 k
libX11-common noarch 1.6.7-1.el8 AppStream 157 k
libXau x86_64 1.0.8-13.el8 AppStream 36 k
libXpm x86_64 3.5.12-7.el8 AppStream 58 k
libjpeg-turbo x86_64 1.5.3-7.el8 AppStream 155 k
libssh2 x86_64 1.8.0-8.module_el8.0.0+189+f9babebb.1
AppStream 99 k
libtiff x86_64 4.0.9-13.el8 AppStream 188 k
libwebp x86_64 1.0.0-1.el8 AppStream 273 k
libxcb x86_64 1.13-5.el8 AppStream 230 k
php x86_64 7.2.11-1.module_el8.0.0+56+d1ca79aa AppStream 1.5 M
php-bcmath x86_64 7.2.11-1.module_el8.0.0+56+d1ca79aa AppStream 79 k
php-gd x86_64 7.2.11-1.module_el8.0.0+56+d1ca79aa AppStream 83 k
php-ldap x86_64 7.2.11-1.module_el8.0.0+56+d1ca79aa AppStream 79 k
php-pdo x86_64 7.2.11-1.module_el8.0.0+56+d1ca79aa AppStream 122 k
php-pgsql x86_64 7.2.11-1.module_el8.0.0+56+d1ca79aa AppStream 117 k
unixODBC x86_64 2.3.7-1.el8 AppStream 458 k
OpenIPMI-libs x86_64 2.0.25-4.el8 BaseOS 506 k
dejavu-fonts-common noarch 2.35-6.el8 BaseOS 74 k
dejavu-sans-fonts noarch 2.35-6.el8 BaseOS 1.5 M
fontconfig x86_64 2.13.1-3.el8 BaseOS 275 k
fontpackages-filesystem noarch 1.44-22.el8 BaseOS 16 k
libtool-ltdl x86_64 2.4.6-25.el8 BaseOS 58 k
net-snmp-libs x86_64 1:5.8-7.el8_0.2 BaseOS 821 k
zabbix-web noarch 4.4.0-1.el8 zabbix 2.9 M
fping x86_64 3.16-1.el8 zabbix-non-supported 51 k
Enabling module streams:
virt rhel
(略)